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甲状腺と妊娠・不妊治療

橋本病の女性の妊娠について

橋本病をお持ちの方は、甲状腺機能が正常であれば明らかな不妊の原因にはなりません。しかし、顕性の甲状腺機能低下症では、不妊の原因、流産や早産のリスク、妊娠高血圧の増加などの報告があります。また、甲状腺機能が正常であっても一般の妊婦に比べて流産や早産がわずかに多いとの報告があります。それは、妊娠中は甲状腺機能の異常をきたしやすいことがひとつの原因と考えられています。

母親の甲状腺ホルモンが低い場合、赤ちゃんへ送る甲状腺ホルモンの量が低下し、胎児の発達に悪影響をきたすことがあります。そのため、妊娠中に甲状腺機能低下の傾向があれば甲状腺ホルモン薬(チラージン®)の服用を開始・調整して流産や早産のリスクを低下させることが重要です。

一方、甲状腺ホルモン薬を服用せずに経過観察をしている潜在性甲状腺機能低下症の方の場合、TSH≧2.5μU/mLでTPO抗体陽性である妊娠はハイリスクとする報告もあり、その場合はTSH≦2.5μU/mLになるように少量の甲状腺ホルモンの補充を行うことが現在のコンセンサスとなっています。

橋本病や潜在性甲状腺機能低下症をお持ちで妊娠希望のある方、もしくは妊娠が判明された方は早めの病院への受診をお勧めします。

バセドウ病の女性の妊娠について

バセドウ病は自己免疫により甲状腺を刺激する抗体(TRAb)が作られ、その抗体が甲状腺を刺激するために甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気です。TRAbは胎盤を通過するため胎児の甲状腺もこの抗体によって刺激されます。そのため、バセドウ病をお持ちの方は可能な限りバセドウ病のコントロールを良好にしてTRAbを低下させてから妊娠することが望ましいです。

しかし、妊娠初期(妊娠4週~15週)の妊婦がバセドウ病の治療薬の1つであるメルカゾールを服用すると、赤ちゃんに臍腸管関連奇形(後鼻孔閉鎖、食道閉鎖、気管食道婁、臍帯ヘルニア)や頭皮欠損などの奇形がまれに発生します。

一方、プロパジール、チウラジールの場合はこれらの奇形は起こりません。以上のことから、妊娠初期はメルカゾールの服用を避け、ほかの薬剤への変更・調整が必要です。バセドウ病に対してメルカゾールを服用中の女性で今後妊娠を希望する場合は、プロパジール、チウラジールへ治療薬を変更・調整したほうが無難です。

バセドウ病をお持ちで妊娠希望のある方、もしくは妊娠が判明された方は早めの病院への受診・相談をお勧めします。

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