妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは
妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値が上がってしまう糖代謝異常を引き起こす病気のことです。妊娠糖尿病になると母児ともに様々な合併症を引き起こしてしまうことがあり、適切な治療が必要です。
妊婦中の糖尿病は3種類に分類される
①妊娠糖尿病 | 妊娠中に初めて糖代謝異常を発症した場合。 |
②糖尿病合併妊娠 | 既に糖尿病を発症している方が妊娠した場合。 |
③妊娠中の明らかな糖尿病 | 妊娠中に重度の糖尿病症状が出ていることが診断され、妊娠前から糖尿病であった可能性の高い方。 |
妊娠糖尿病になる原因
通常時、体内の血糖は膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンが適切な値になるよう調節されています。しかし、妊娠中は胎児へ多くのエネルギーを送るために胎盤からインスリンの働きを抑えるホルモンが発生し、また胎盤にてインスリンそのものが分解されるため、どんな妊婦でも通常時に比べると血糖値が上がりやすくなります。なかでも妊娠糖尿病は、このような妊娠中のホルモン動態の変化に伴い、インスリンが上手く作用できなくなり、結果として血糖値が上昇して体に悪影響を及ぼす疾患です。妊娠していることが原因で起こる糖尿病なので、多くの場合、出産後には血糖値は改善することが多いのも特徴の1つです。
妊娠糖尿病の症状・診断方法
妊娠糖尿病の怖い点は、自覚症状がほとんどないという点です。これまで健康で過ごされてきたのに突然妊娠糖尿病の診断を受けるという方も珍しくはありません。自覚症状がなくとも母児にとって重篤な合併症を誘発してしまう恐ろしい病気なので、妊婦定期健診を指示された通りに受けて早期発見する事がとても重要です。
妊娠糖尿病の診断の流れとしては、まず妊娠が判明したら尿検査や血液検査にてスクリーニングを行い、妊娠糖尿病の疑いがある方は経口ブドウ糖負荷テスト(75gOGTT検査)にて確定診断をします。
妊娠中の糖尿病が引き起こす合併症
妊娠中の糖尿病自体は自覚症状がないものの、妊娠中の高血糖状態が引き起こす合併症の中には母親や赤ちゃんの命に係わるものもある怖い病気です。
【母親に起こる合併症】
- 妊娠高血圧症候群
- 流産
- 早産
- 羊水過多
- 膀胱炎、腎盂炎などの感染症
- 血管障害
- 網膜症
- 肩甲難産
- ケトアシドーシス
などが挙げられます。
【赤ちゃんに起こる合併症】
- 子宮内胎児脂肪
- 新生児低血糖
- 新生児ピルピリン血症
- 低カルシウム血症
- 呼吸窮迫症候群
- 先天奇形
- 発育遅延
- 心肥大
- 多血症
- 電解質異常
- 黄疸
- 巨大児
などが挙げられます。
妊娠糖尿病の治療方法
いざ妊娠糖尿病と診断されると不安になる方も多いと思われます。妊娠糖尿病の治療は主に食事療法・運動療法・薬物療法の3つです。妊娠糖尿病の程度によっては患者さん毎に治療方法が変わってきます。医師の指示に従いしっかりと血糖値をコントロールしましょう。
おわりに
妊娠中の怖い病気である妊娠糖尿病ですが、適切な治療で母児の合併症の確率を減らせます。また、すでに糖尿病と診断されている方は医師のアドバイスのもとに「計画妊娠」をすることで、妊娠中のリスクを減らすことが可能です。
くにい内科クリニックでは、糖尿病専門医による計画妊娠および妊娠中の血糖管理の診療が可能です。また、どのようなお悩みでも真摯にご対応いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。